A 認知症と診断されたからいって、すぐに生活を変える必要はありません。 生活環境を大きく変えると、新しい環境に慣れるまでに時間がかかったり、混乱したりします。 まずは、本人の住み慣れた環境やなじみの人間関係の中で、これまで通りの生活を続ける方法を考えましょう。 治療の面では、抗認知症薬の服用と、持病の適切な管理が大切です。 生活の面では、介護保険サービスなどの利用を検討してみましょう。 専門の窓口で、本人の状況や今後の生活の希望を相談して、どのような準備ができるか考えてみましょう。
A 認知症があっても1人暮らしをしている人はたくさんいます。 むしろできることは自分で行う方が、身体の機能維持や本人の自信になります。 認知症の初期では、ものの置き場所が分からなくなったり、人の名前や買ったものを忘れたりしがちですが、大事なことはメモに残すなど、生活の工夫で1人での生活を続けることができます。 また、介護保険サービスを利用することで、通所サービスでは、他者との交流の機会を持つことができますし、訪問サービスでは、生活のなかで難しいことに支援を受けるなど、本人の望む暮らしの実現のために、様々な手立てが考えられます。 早い段階から本人の意向を確認し、健康で安全に暮らせるように、介護サービスや家族・地域の見守り等、必要なサポート体制を整えましょう。
A 認知症の薬は、症状を完治させる薬とは異なり、認知症を治したり、進行を完全に止めることはできませんが、進行を遅らせる効果があります。 変化が感じられないからと自分の判断で飲むのをやめてはいけません。 何か疑問がある場合には、認知症の薬を処方している医師に相談しましょう。
A 認知症によって情報を一時的に記憶する機能に支障が生じるため、同じことを話したり、繰り返し尋ねてしまいます。 本人は“初めて聞いてくる”という思いで尋ねているので、家族が応じてくれないと不安や不満を感じてしまいます。 その都度、できるだけ冷静に、簡単な言葉で、本人の話に優しく応えた上で、関心が他のことに向くように声かけしてみましょう。 また、繰り返し話す事柄は、本人が不安に思っていたり、困っていることなどであり、本人にとっては重要なことです。 メモやカレンダーを活用して分かりやすくするなど、できる限り不安の解消に努めましょう。 本人が安心できるような対応を重ねることで、落ち着く場合もあります。
A デイサービスなどの通所サービスを利用することは、認知症の進行予防に有効です。 身体の機能維持・回復(リハビリ)はもちろん、家族以外の人と接することは心身を活性化させます。 しかし、新しいことにチャレンジするには不安が伴うものです。 本人に強要するのではなく、通所サービスの効果を納得してもらうことが大切です。 事業所によって、雰囲気や活動プログラムは様々なので、ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談し、見学や体験利用をして、本人に合う事業所を見つけましょう。
A 料理やタバコなどの楽しみを奪わずに、本人と周囲の安全確保を考えましょう。 例えば、料理については、ガスコンロを使用している場合は、安全装置のついたガスコンロや電磁調理器に交換するなどの方法があります。 また、タバコについては、灰皿で押し消すのではなく、水を張った容器で消すように変えるなどの方法もあります。 本人の状態や希望、家庭の状況によって、様々な方法が考えられますので、一度相談窓口へご相談ください。
A なぜ着替えや入浴を嫌がっているのか理由を聞いてみましょう。 浴室が寒い、滑るから怖い、着替えるのがおっくうなど、人によって理由は様々です。 環境を整えたり手助けをすることで、状況が好転することもあります。 介助が必要で家族では難しい場合には、無理をせず、介護保険サービスを利用してヘルパーなど専門職に任せるのも良いでしょう。
A 外出を制限するとストレスが溜まってしまいます。 できるだけ安全に外出できるよう、もしもの場合に備えて、携帯電話や身分証、連絡先の分かるものを身に着ける習慣をつけましょう。 外出する状況や本人の言動から目的や理由をくみとり、一緒に出かけるなどの対応をすることで、1人での外出が治まる場合もあります。 また、夜中に外出してしまうのは、日中の活動不足や昼寝が影響している場合もあります。 生活リズムを整える方法を、主治医やケアマネジャー(介護支援専門員)と相談しましょう。
A まずは、福岡市消費生活センターやいきいきセンターふくおかに相談をしましょう。 「クーリングオフ(訪問販売や電話勧誘販売などで商品等の購入契約をした後でも、解約することができる制度)」の手続きができる場合があります。 認知症によって判断力が不十分になると、悪徳商法の被害に遭う危険性が高まるほか、財産管理や契約などが難しくなってきます。 このような不利益を被らないための手立てとして、成年後見制度というものがあります。 成年後見制度とは、家庭裁判所に選任された後見・保佐・補助人が、本人に代わって契約行為を行ったり、取り消すなどして、本人を保護・支援する制度です。
A 排泄の失敗は本人にとって大変ショックな出来事で、傷ついています。 嫌な顔をしたりせず、さりげなく対処しましょう。 日頃から「トイレに行きたい」と言える、伝えられる環境にしておくことが大切です。 また、失敗の理由を考え、できるだけ失敗が減るように工夫をしましょう。 「間に合わない場合(場所に迷う、脱ぎ着に時間がかかる)」と「尿意・便意が分からない場合」では対応も異なります。 排泄のリズムを把握して、前もってトイレへ促すことで、失敗せずに排泄を済ませることができます。 日頃利用している介護保険サービスのスタッフに対応方法を相談するのも良いでしょう。
A 同じ月内に利用した、在宅サービスや施設サービスの利用者負担の合計(世帯での合計額)が一定額を超えた場合、申請によりその超えた分が高額介護(予防)サービス費として支給されます。 詳しくは、各区福祉・介護保険課にご相談ください。また、医療費と介護保険サービス費の両方の負担がある場合、軽減を図るための「高額医療・高額介護合算制度」もあります。 詳しくは、加入する医療保険窓口へご相談ください。
A 認知症が進行したり、介護者の疲労・病気などで介護が難しくなってきた場合、施設入所も選択肢のひとつです。 介護者が倒れてしまうと、ご本人の生活も困難さが生じてきます。 お互いが心穏やかに安全に過ごすために、介護を専門職に任せることは決して悪いことではありません。本人が自宅での生活を希望する場合には、必要に応じて一時的に施設入所する方法もあります。 また、入所施設には様々な種類があり、特色があります。